著者の人気シリーズの第8弾。「QED(quod erat demonstrandum)」=「証明終わり」という意味が指すように、主人公・桑原崇が歴史の闇や謎を解き考証していく。今回はタイトルのように鎌倉、そして源氏3代に潜む暗闇を紐解く。
昔、教科書で読んだ源頼朝は「1192(イイクニ)つくろう鎌倉幕府」と勢力争いなどしか記憶には残っていなかった。――鎌倉という地名の由来、なぜ頼朝が鎌倉を拠点としたか――謎の入口に魅入られたが最後、源氏3代の悲しい運命を見届けずにはいられませんでした。
実際に何度も鎌倉に行き、頼朝のお墓を見に行ったり、銭洗弁天でお金を洗ったりもしていたので風景を思い浮かべながら読みました。そして棚旗姉妹のように今さら鎌倉にあんな伝説や秘密があるなんて…と驚き、改めてタタルの考察に従って鎌倉を辿ってみたいと思いました。
目から鱗が落ちた鎌倉散策歴史ミステリーおすすめ度
★★★★☆
薬剤師の桑原崇ことタタルが歴史の講釈をしながら、同時に事件の謎も解決する「QED」シリーズ。今回は鎌倉を舞台に、タタルと棚旗奈々、沙織の姉妹、それに小松崎の四人が、鎌倉時代の歴史の闇に踏み込んでいきます。
鎌倉時代の謎と、現実の失踪事件の謎を割合で換算すれば、8対2ぐらいかなあ。メイン・ディッシュはタタルが展開する鎌倉時代の蘊蓄で、デザートに失踪事件が差し出されるといった感じ。鎌倉のカラー地図も織り込まれていて、これはもう、歴史紀行ミステリーと言っていいんじゃないかと、そんな印象を持ちました。
鎌倉という場所に興味がある人は、「へえっ。そこにはそんな由来があったんだ」とか「ふーん。源頼朝って……そうだったんだあ」と、その地を、そして鎌倉時代を散策するように楽しむことができるのではないでしょうか。
タタルが開陳する鎌倉時代の蘊蓄はかなりマニアックで、正直、うざったく感じた部分もありました。そのマニアックな毒を薄めていたのが、沙織のキャラでした。彼女のあっけらかんとした言動は、なかなか愉快で楽しませてもらいました。
タイトルの中の「ventus」というのは、ラテン語で「風」を意味する言葉なんだそうです。歴史の持つイメージとメッセージとを掛けて、この言葉を持ってきたみたい。「QED.」(以上、証明終わり)とラテン語で繋がっているっていうのもあったかも。
鎌倉旅行のお供におすすめ度
★★★★☆
相変わらず事件自体のウェイトは低く、主人公もますます事件に興味を持っていません。
事件と歴史考証の関係もますます取ってつけたようなものになっています。
今やこの「無関係さ」こそが読者の期待でしょうか。
私は鎌倉時代に特に興味を持っているわけではありませんが、時代考証自体は大変面白いです。
今回は鎌倉の地図もついていて、これから鎌倉へ行こうという方は、この本を持っていけば観光がさらに楽しめるのではないか、といった感じです。
概要
闇と空白が真実を象(かたど)り、鎌倉、源氏三代にまつわる謎を解き明かす!
旅する「QED」、堂々第8弾!!
「“神”は三種類に分類される……まず第一が、大自然。次は祖霊(それい)。最後は、時の朝廷に対して戦い、恨みを呑んで亡くなっていった人々」。銭洗弁天、鶴岡八幡宮、御霊(ごりょう)神社……鎌倉をそぞろ歩く奈々、沙織の棚旗姉妹に、桑原崇が説く「鎌倉=屍倉(かばねくら)」の真実!源三代にまつわる謎の答えが、闇の中に白く浮かび立つ!!
内容(「BOOK」データベースより)
「“神”は三種類に分類される…まず第一が、大自然。次は祖霊。最後は、時の朝廷に対して戦い、恨みを呑んで亡くなっていった人々」。銭洗弁天、鶴岡八幡宮、御霊神社…鎌倉をそぞろ歩く奈々、沙織の棚旗姉妹に、桑原崇が説く「鎌倉=屍倉」の真実!源三代にまつわる謎の答えが、闇の中に白く浮かび立つ。
内容(「MARC」データベースより)
銭洗弁天、鶴岡八幡宮、御霊神社…鎌倉をそぞろ歩く奈々、沙織の棚旗姉妹に、桑原崇が説く「鎌倉=屍倉」の真実! 源三代にまつわる謎の答えが、闇の中に白く浮かび立つ!「QED」第8弾。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
高田 崇史
昭和33年東京都生まれ。明治薬科大学卒。『QED百人一首の呪』(講談社ノベルス)で、第9回メフィスト賞を受賞しデビュー