鎌倉ブラックホール論おすすめ度
★★★☆☆
鎌倉時代の鎌倉について、文献史学的にではなく考古学的な知見で記
述した本。遺物・遺跡の発掘により当時の生活・風習についてかなり
細かな事柄にわたって論じており、室町以前の、いわゆる日本文化の
原型が完成する前の生活について知ることができる。
人口10万程と想定される一大消費都市である鎌倉がいかに荒々しく
猥雑とした町であるかがわかる。また、京都や関西から様々な文物・
消費財が鎌倉へ流入しているが、鎌倉から関東へは波及していなかっ
たという。同時期の関東においては鎌倉の都市文化の影響がほとんど
ないそうだ。ここから、すべて鎌倉で吸収される一方であったという
こと、著者の言う「鎌倉ブラックホール論」へとつながっていく。
概要
世界遺産登録を目指し、発掘調査の進む鎌倉。武家屋敷跡、陶磁器、銭貨等、出土した遺物は、国内はもとより遠く中国からも膨大な物資や技術を引き寄せ、呑み込んだ消費都市鎌倉の実相を物語る。文献史料だけでは見えてこない武士の栄華の実態、庶民生活、食文化等々、興味深い事象を考古学的洞察で究明、読者を中世史学の新たなフィールドへと誘う。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
河野 真知郎
1948年、東京生まれ。上智大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。鶴見大学文学部教授