『双調平家物語』の制作ノートおすすめ度
★★★★★
下のレビュアーさんの達意の文章にことさら付け加えるのも僭越と思いますが、「本編(『双調平家物語』)を読んでらっしゃる方々にはさらに面白いですよ」とだけ申し上げたく思います。
本編の読者にはちょうどいい「復習」にもなります。
私自身『双調平家物語』の新刊を待ちわび、毎回隠れて最初から最後まで音読(←笑)をしているくらいですが、さすがにおおまかな流れ以外はあやふやになってきています。官能的な名文で綴られる数々の逸話、洞察、謎解き、あれらが記憶から遠のくのは惜しい。この制作ノートを読んで復習してみるのも楽しみのひとつになるかと。「ああ、そうだった」「あ、思い出した」と膝を打ちつつ読み進めること請け合いです。
本編に関しては「大傑作」とだけ申し上げましょう。「ここで物凄いコトが起こっている」と読みながら興奮を覚えるほどです。
橋本治氏は主に評論やエッセイを読んできて、一貫して好意的には捉えておりませんでした。しかし『双調平家物語』を世に送り出し、あれほど美しい日本語を繰り出し、古代の人間模様とあそこまで一体化した橋本氏に対しては、ただただ頭を低くして謝意を表すのみです。
一読、ただ呆然…驚異的な達成おすすめ度
★★★★★
橋本治『双調平家物語』本編は、購入しているが実は読んでいなかった。読んでないながらも少しは覗いていて、何かヘンだ、何で大化の改新なんか出てくるんだ、と疑問には思っていた。
で、本書は『双調…』の創作ノートと銘打たれている。一読、呆然。巻擱ク能ハズ。いや、細かい文字がビッシリ詰まっているので、休み休み読みましたけど…
平家物語において平清盛はなぜ悪人なのかという疑問に発して、院政の謎に突き当たり、さらにその起源を探るために摂関時代から平城・嵯峨朝、さらにさらに持統に遡って奈良朝の権力闘争を論じる。続刊として予告されている『院政の日本人』では大化の改新を扱うそうだから、橋本版平家物語って一体ナニモノ? っていう感じ。
本当なら『双調…』本編を読んで感動しているべきだったのだろう。しかし本書は「ノート」と銘打たれながらも決して本編に従属するものではない(と思う)。正直に言わせてもらえば末尾近く、聖武から孝謙への流れの説明にやや見通しの悪さも感じたが、王朝貴族社会についての該博な知識を背景に、徹底的に理詰めで心理の謎を解き明かすことによって浮かび上がる滔滔とした歴史の流れ、そして日本的権力の分析は、まさに小説的想像力の力を見せつけて圧巻。史論の歴史的傑作と読んでおそらく誤りではない。特に、天皇制問題に関心のある向きは必読。もちろん、それ以外の人も必読だが…
国文学者や歴史研究者は、素直にコウベを垂れるべき。続刊が待ち遠しい。
概要
私たちは錯覚の中で歴史を見ているのだろうか。
平家は倒れた。だから悪い?平清盛は悪人?では、どう悪いのだろう。
“日本のルーツ”平安時代に生きる人々は、実はあまりにも、「現代人」だった。院政、摂関政治、女帝、国家……知らないことだらけの歴史を見直してみる。
「諸行無常」で片づけられない日本の歴史。古代の権力世界の住人達から、新しい歴史の広がりを見る縦横無尽の史論。
内容(「BOOK」データベースより)
平家は倒れた。だから悪い?平清盛は悪人?では、どう悪いのだろう。“日本のルーツ”平安時代に生きる人々は、実はあまりにも、「現代人」だった。院政、摂関政治、女帝、国家…知らないことだらけの歴史を見直してみる。「諸行無常」で片づけられない日本の歴史。古代の権力世界の住人達から、新しい歴史の広がりを見る縦横無尽の史論。
内容(「MARC」データベースより)
平安時代に生きる人々は、実はあまりにも「現代人」だった。院政、摂関政治、女帝、国家…。「所行無常」で片づけられない日本の歴史。古代の権力世界の住人たちから、新しい歴史の広がりを見る縦横無尽の史論。