実に面白い本である。若い頃から鎌倉に惹かれ、鎌倉を歩いて来た私であるが、この本を読んで、私は、自分が、いかに鎌倉について何も知らないかを痛感させられた。−−ほんの一例だが、そもそも、何故、鎌倉に大仏が造建されたのか?鎌倉大仏は、何故阿弥陀仏なのか?そして、何故、大仏は、猫背なのか?と言った興味深い事柄を、これほど分かり易く説明してくれるこの本が、単に鎌倉の古寺を案内する本でない事は、余りにも明らかである。−−この本は、単に、鎌倉の古寺について書かれた本ではない。この本は、鎌倉から、日本の中世史を、そして、日本の仏教史・精神史全体を透視した歴史書なのである。鎌倉を歩きながら、この本を読む事を、お薦めする。
この本を片手に鎌倉を歩こう!おすすめ度
★★★★☆
〜鎌倉の「宗教都市」という側面に焦点を当て、寺院を中心に、中世にそこで何が起こっていたかを解説してくれている好著。
大仏、鶴岡八幡宮等の名所についても、木造大仏の謎、本地垂迹説等、歴史的観点から新たな発見を与えてくれる。
また、普通に鎌倉に行くだけでは、通り過ぎてしまいがちな、マイナーな寺院についても、歴史を紐解くと意外な発見がある〜〜ことを教えてくれる。
「古寺」というタイトルとはいえ、陰陽師等の、仏教以外の宗教状況についての解説があるのもうれしい。
この本を片手に鎌倉を歩けば、新たな観点からの鎌倉巡りができる。
ただ、『歩く』というタイトルの割には、地図が簡素なものであったのは残念。実際に歩くなら、通常のガイドブック、地図等をこの本の他に持っていかなければ〜〜ならないだろう。この点で星ひとつ引かせてもらったが、それ以外の点ではすばらしい本であった。〜
概要
武家の都として知られる鎌倉の、宗教都市としての側面に光を当てる。僧侶や暗躍する陰陽師の実像を描き、多くの怨霊鎮魂の寺がある、知られざる宗教世界を解明。寺社を宗派別に収録・網羅した、格好の散歩の手引き。
内容(「MARC」データベースより)
鎌倉散歩の格好の手引き。僧侶や暗躍する陰陽師の実像、多くの怨霊鎮魂の寺など、知られざる宗教都市としての側面に光を当てる。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
松尾 剛次
1954年、長崎県に生まれる。1981年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。1994年、東京大学大学院人文科学研究科より博士(文学)の学位を授与される。山形大学教授